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- 2006.03.22
- 役に立つ?情報
だいぶ温かくなって春らしくなってきました。桜のつぼみもすこし膨らんでくる本当に良い季節なのですが、この時期を鬱陶しい気分で過ごしているのは、きっと私だけではないと思います。
花粉症は主にスギ・ヒノキなどの花粉によって引き起こされるアレルギー性鼻炎・結膜炎の総称で、日本人の約20%が罹患している疾患です。症状は水様性鼻水、くしゃみ、鼻と目の掻痒感、鼻粘膜の蒼白性腫脹と鼻閉などが主なもので、花粉と接触したあと数分ないし数時間以内に症状があらわれ、特定の季節(花粉の種類、アレルゲンによって時期は異なる)に反復することが特徴です。重症例では、鼻症状を繰り返すうちに、喘息発作が起こったり、便秘や下痢などの消化器系症状や片頭痛を伴うこともあるようです。(参考URL: http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B2%D6%CA%B4%BE%C9)
基本的な原因は、花粉を抗原とするIgE依存性I型アレルギー反応です。しかし花粉のアレルゲン(アレルギーの原因物質)としての強さは単にその量だけに相関する訳ではなく、大気汚染物質が花粉と混合することによってアレルギー誘起能が増大していると言われています。今年は昨年に比べて花粉の飛散量は1/10といわれていましたので、私もちょっと期待していましたが、例年と症状があまり変わらないのはそのためと思います。
現在妊娠中あるいは現在妊娠を目指しておられる方々、さらに授乳中の方々にも花粉症の方は多くいらっしゃると思います。それらの方は、いつも使用されている薬剤をどうするか悩まれている方も多いのではないでしょうか。
妊娠中あるいは妊娠を目指されている方に関しては、基本的に点鼻薬・点眼薬などの外用剤はほとんど体内には吸収されないとされていますので、まず第一にご使用いただきたいと思います。内服薬は、外用薬では効果が不十分な場合に使用するのが妥当と考えられます。一般的に抗アレルギー剤のほとんどは、妊娠中でも薬剤使用の有益性が危険を上回ると判断される場合は使用して良いことになっています(クラリチンは「投与を避けることが望ましい」)。妊娠初期(特に器官形成が行われる8週以前)はなんとか外用薬だけで乗り切り、12週を越えたら症状によって内服も併用するのが妥当ではないでしょうか。ただし、上記のように花粉症により喘息発作が誘発される場合や偏頭痛を伴う場合は、耳鼻科の先生の意見も聞く必要はありますが、早めに内服を併用したほうが良い可能性もあります。
授乳中の方につきましては、最近は製造物責任法(PL法)の絡みもありまして、ほとんどの内服薬、そして外用薬の一部でも、添付文書に「薬剤を使用する場合は授乳を避けさせること」のコメントが書かれています(比較的歴史のある抗アレルギー剤であるポララミンは授乳についてのコメントはありません)。特に外用薬では上述のようにほとんど体内には吸収されないとされていますので、前回のブログでもお書きしました母乳の種々の利点を考えると、授乳を続けるほうがメリットが大きいのではないでしょうか。内服薬の場合は乳汁中への分泌が確認されていますので、添付文書に従えば授乳を避けるということになります。ただし10ヶ月で生まれて体重が2500gを越えるような新生児に薬剤として作用するほどの量が、乳汁中から移行するかどうかは微妙なところで、最終的にはご自身で判断いただくことにはなりますが、授乳を継続する選択肢もあり得ます。毎日内服しなくて良いのなら、内服したときだけ搾乳して捨て、授乳を続行する方法もあります。
なお、薬剤の添付文書の情報は、以下にて入手いただけます。
http://www.info.pmda.go.jp/psearch/html/menu_tenpu_base.html
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- 2006.03.21
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両親教室でいつもお話しすること「子育てはいい加減が良い加減」
今日は、私が両親教室でいつもお話する、子育てに関することを記したいと思います。
今赤ちゃんを目指して治療中の方には妊娠が、そして妊娠されている方には来るべき出産が、長い間のがんばりが報われるゴールのように感じられるかもしれません。でも出産はむしろ新しいスタートなのです。そのスタート地点で新しく加わる家族は、素晴らしい笑顔と愛らしい仕草とはうらはらに、じつはとても勝手気ままな存在です。赤ちゃんはお二人がどんなに疲れていても夜昼かまわず泣かれますし、一生懸命お世話をしてもご機嫌が良くなるとは限りません。そんなとき生まれる前に抱かれていた「赤ちゃんのいる幸せな生活」のイメージと、少なからぬギャップを感じることがあるかもしれません。特に「育児はこうあるべきだ」との思いが強いと、「赤ちゃんがそれに応えてくれないのは、自分に問題があるから?いやもしかしたら赤ちゃんに何か問題があるの?」と、どんどんストレスがたまることになります。こんなとき、ご両親やお友達の先輩ママ・パパなど相談できる人がおられればいいですが、おられない場合にはインターネットで調べても、さまざまな意見があってかえって混乱することもあります。
そこで思い出してほしいのが「子育てはいい加減が良い加減」。もちろんちゃんとおっぱいはあげないといけませんし、オムツもかえないといけませんので「親は無くとも」とはいきませんが、少しくらい手を抜いても「子は育つ」ものです。SACRAでは両親教室でこのお話をしていますが、奥様は産後しばらくは精神的にも不安定な時期です。奥様のストレスが過大になっていそうなら、ご主人の出番です。奥様を少し休ませてあげてください。
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- 2006.03.06
- 役に立つ?情報
最近妊娠を目指してトライしていてもなかなか結果が出ないが、受診するべきなのか?また受診するならどういったタイミングがよいか?というご質問をよく頂きます。
不妊症とは普通に夫婦生活をして2年以上赤ちゃんが出来ない場合とされていますが、一人目はあっさり妊娠されてもお二人目が出来にくい場合などもあり、定義が満たされたときのみに治療が必要というわけでもありません。
また不妊治療と一言で言いましても、医学的な介入の程度はさまざまです。一般的には医学的な介入の程度が増せば増すほど妊娠の可能性は上がると考えられていますが、受診されてもいきなり最初から体外受精や顕微授精(写真)などの高度な介入を行うわけではありません。
年齢や不妊の期間にもよりますが、最初は自然な卵胞発育をみながら夫婦生活のタイミングを指示する方法(タイミング法)から始めます。すでにご自宅で排卵チェッカーなどを用いてタイミング法を行っておられる場合でも、通院しながら超音波で卵胞発育と着床の際にベッドとなる子宮内膜の変化を経時的にみていけば、タイミングは合いやすくなります。さらに最終的に排卵させるためのHCGという注射(排卵誘発剤ではありません、自然に発育して十分成熟した卵胞から卵細胞が飛び出す“排卵”を促します)を使用すれば、確実にタイミングは合います。
受診すべきかどうか迷われておられる方は、とにかく一度受診されて一歩踏み出すことをお勧めします。受診されれば詳しくお話を聞かせて頂いて、治療に移っていくがどうか判断することになります。
なかには原因などについてあれこれご自身で考えられて、受診される前から「こんな検査や治療をしてほしい」という方もいらっしゃいます。もちろんご自身が治療に主体的にかかわっていただく必要はありますが、とにかく受診してご自身の状態を確認してからでないと、治療の必要性を評価したり治療計画を立てたりすることはできません。
なお受診のタイミングは、月経開始後5日以内ならば血液検査でホルモンの基礎値の測定ができますが、採血は次周期でも可能ですので必ずしもこだわられる必要はありません。また受診までの短い期間でも結構ですので基礎体温をおつけいただければ参考になります。
HPにありますように不妊治療の担当は橋本先生です。やさしい先生ですので、受診の際にわからないことはご遠慮なくお聞き下さい。
診察日と時間はHPでご確認下さい。不妊外来は時間により非常に込み合いますので、事前にお電話でご予約いただくことをお勧めします。 もちろん小さいお子さま連れでも診察は可能です。ひとりで悩まれることなく、どうぞお気楽にお越し下さい
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- 2006.03.03
- 連絡事項
4月の両親学級は以下の日程で行います。
初期教室(妊娠5〜6ヶ月:16〜23週が対象):4/9(日)9:00受付、9:10〜10:20
中期教室(妊娠7〜8ヶ月:24〜31週が対象):4/29(土)9:30受付、10:00〜11:30
後期教室(妊娠9ヶ月以後:32週以後が対象):4/2(日)9:30受付、10:00〜11:30
いずれも場所は橿原文化会館3F会議室(八木駅徒歩3分、近鉄百貨店隣)です。
初期教室は、申し込み多数の場合は第2部をとり行う可能性がありますので、中期・後期と時間が異なることに注意下さい。
詳細のお問い合わせは、担当宮本までお願いします。また事前に、直接あるいはお電話でご予約いただきますようお願い申し上げます
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- 2006.03.01
- 日々の出来事
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- 2006.02.18
- 連絡事項
おかげさまでSACRAは昨年11月のオープン以来、順調に分娩予約をいただいております。本当にありがとうございます。
さて分娩予定日は妊娠8-10週に胎児の大きさから決定しますので、現在は9月半ばの予定日の方々の分娩予約を頂いている状態です。しかしこのままのペースで患者様においでいただくと、場合によっては9月以後の分娩予約数がSACRAの取り扱いキャパシティーの上限に近づくこともありえます。その場合は不本意ですが、分娩予約を制限せざるを得ないことも考えられます。
現在他施設で検診を受けておられてSACRAでの里帰り出産を検討されている方は、分娩予定日が決まってからで十分間に合いますが、早めにSACRAにおいでいただいて分娩予約をお取りいただくことをお薦めします。
なお予定日が8月以前の方につきましては、現時点ではまだ分娩予約数に比較的余裕がありますが、可能なら早めにご来院いただければと思います。
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- 2006.02.06
- 連絡事項
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- 2006.02.06
- 役に立つ?情報
妊娠中の体重増加については、近年の赤ちゃんの出生体重の低下傾向との関連から、過度の制限が及ぼす悪影響の可能性を指摘した研究報告を新聞報道などで目にされた方もいらっしゃると思います。
ただこれは「過度な制限」の話であって、「適度な制限」は妊娠中毒症(今は妊娠高血圧腎症と名前が変わりました)の発生率を低下させ、また分娩のときのトラブルを少なくするのにも有用だと考えられています。
それではどれくらいが「適度」なのでしょうか。
皆さんはやせと肥満の基準である、ボディーマスインデックス(Body Mass Index:BMI)をご存じですか?これは体重(キログラム)を、身長(メートルに換算)で割って、もう一度身長(同じくメートルに換算)で割った値です。
学会でも議論はありますが、一般的には妊娠前のBMIによって以下の値が「適度な」体重増加とされています。
痩せの方:BMI18未満 10-12kgの増加
普通の方:BMI18-24 7-10kgの増加
肥満の方:BMI24以上 5-7kgの増加
だいたいの基準でいうと、
身長150cmの方は40.5kg未満で痩せ、54.0以上で肥満、
身長155cmの方は43.25kg未満で痩せ、57.7以上で肥満、
身長160cmの方は46.1kg未満で痩せ、61.4以上で肥満、
身長165cmの方は49.0kg未満で痩せ、65.4以上で肥満、
ということになります。
つわりが終わったらバランスの良い食事を心掛け、妊娠前の体重に応じた適度な体重
増加を心掛けてください。
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- 2006.01.20
- 建設日記
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- 2006.01.16
- 建設日記