2006.04.24役に立つ?情報
4/22-23にかけて横浜で行われている日本産科婦人科学会総会・学術講演会に出席してきました。
日本産婦人科学会は日本のほとんどの産婦人科医が所属する学会で、毎年4月に開かれる学術講演会では、各大学などの先進医療機関から最新の医学的知見が発表されます。学会二日目の日曜日には毎年、テーマを決めたシンポジウムが行われ、今年は「妊娠中の栄養・代謝―妊娠中の適切な栄養管理を目指して」と、「多のう胞性卵巣(PCO)の病態生理と臨床」がテーマでした。
私は「妊娠中の栄養・代謝」のシンポジウムを聴くことができましたが、葉酸の摂取不足の問題、出生児体重の低下が児の長期予後にもたらす問題などについての討論が行われました。
妊娠中の過度な栄養制限と体重制限の問題については過去にも記しました(http://blog.livedoor.jp/sacra_lc/archives/50160771.html)。それ以外には新聞でも報道されましたが、妊婦の葉酸摂取が厚生省の推奨量を満たしていないこと、そしてそれはサプリメントの服用により改善されることが取り上げられていました。血中葉酸濃度の低下は2分脊椎などの胎児の神経管の閉鎖障害(Neural Tube defect: NTD)に関わることが報告されています。以前は日本人の野菜摂取は多いために、欧米に比してNTDは少ないと考えられていましたが、近年NTDは欧米では減少傾向にあるにもかかわらず、日本では増加傾向にあることも知られています。また葉酸代謝に関わる酵素のある遺伝子多形をもたれている方(MTHFR 677 TT:日本人では約18%の方がそうです)では、血中葉酸濃度が低い傾向があることも知られています。
現在妊娠を目指して治療中の方、すでに妊娠が成立して私の外来にこられれている方は、葉酸ともにビタミンB群を多く含む緑黄色野菜(ジュースを含む)の十分な摂取を心がけてください。また鉄分とカルシウムも不足がちになりますのでそれらも含めてバランスのとれた食事をお願いします。
場合によってはサプリメントの使用も有用です。ただしサプリメントに頼って食事がおろそかになるようなら本末転倒です。基本的には各種栄養素はバランスのとれた食事から摂取すべきであることも理解しておいてください。
過ごしやすい季節になりました。SACRAの芝ざくらも美しく咲き始めました。
日本産婦人科学会は日本のほとんどの産婦人科医が所属する学会で、毎年4月に開かれる学術講演会では、各大学などの先進医療機関から最新の医学的知見が発表されます。学会二日目の日曜日には毎年、テーマを決めたシンポジウムが行われ、今年は「妊娠中の栄養・代謝―妊娠中の適切な栄養管理を目指して」と、「多のう胞性卵巣(PCO)の病態生理と臨床」がテーマでした。
私は「妊娠中の栄養・代謝」のシンポジウムを聴くことができましたが、葉酸の摂取不足の問題、出生児体重の低下が児の長期予後にもたらす問題などについての討論が行われました。
妊娠中の過度な栄養制限と体重制限の問題については過去にも記しました(http://blog.livedoor.jp/sacra_lc/archives/50160771.html)。それ以外には新聞でも報道されましたが、妊婦の葉酸摂取が厚生省の推奨量を満たしていないこと、そしてそれはサプリメントの服用により改善されることが取り上げられていました。血中葉酸濃度の低下は2分脊椎などの胎児の神経管の閉鎖障害(Neural Tube defect: NTD)に関わることが報告されています。以前は日本人の野菜摂取は多いために、欧米に比してNTDは少ないと考えられていましたが、近年NTDは欧米では減少傾向にあるにもかかわらず、日本では増加傾向にあることも知られています。また葉酸代謝に関わる酵素のある遺伝子多形をもたれている方(MTHFR 677 TT:日本人では約18%の方がそうです)では、血中葉酸濃度が低い傾向があることも知られています。
現在妊娠を目指して治療中の方、すでに妊娠が成立して私の外来にこられれている方は、葉酸ともにビタミンB群を多く含む緑黄色野菜(ジュースを含む)の十分な摂取を心がけてください。また鉄分とカルシウムも不足がちになりますのでそれらも含めてバランスのとれた食事をお願いします。
場合によってはサプリメントの使用も有用です。ただしサプリメントに頼って食事がおろそかになるようなら本末転倒です。基本的には各種栄養素はバランスのとれた食事から摂取すべきであることも理解しておいてください。
過ごしやすい季節になりました。SACRAの芝ざくらも美しく咲き始めました。